妊娠と出産は、家庭にとって喜ばしい出来事であるが、同時に財政的な負担を伴うこともあります。日本の社会保障制度は、多くの点で一般的な国際的な標準に従っており、妊娠と出産に関する支援も充実しています。妊娠・出産に関連する手当や制度が整備されているため、これらの制度を知って上手に利用することが大切です。この記事では、妊娠中・出産時・出産後といった妊娠の各フェーズに沿ってそれに伴う日本の妊娠・出産に関連する手当や制度について詳しく説明します。
妊娠中
妊娠が判明した時、ママは喜びを感じながら不安な気持ちもいっぱいありますよね。赤ちゃんの心配であり、もちろん妊娠・出産にかかる費用の心配もあると思います。妊娠中は赤ちゃんが大丈夫かどうか、お母さんの体の変化が順調であるかどうかチェックしもらうのに病院か産婦人科などに行って「妊婦健診」を受ける必要があります。「妊婦検診」とは、妊娠が判明すれば定期的に受診しなければならない検診のことです。妊娠は病気ではないため健康保険適用外であり、通常であれば1回につき3,000~15,000円程度かかる検診をトータルで約12回受ける必要があります。つまり、妊娠に係る諸費用は11万円程度です。
しかし、少子高齢化のため2009年の制度改正を行われ、妊婦健診費用を援助してもらうようになりました。
妊婦健診助成
妊娠手当は、妊娠期間中に必要な医療費や生活費を支援するための給付金です。妊娠手当は、以下のような条件で支給されます。
1.妊娠届出 妊娠が判明した場合、市区町村の役場に妊娠を届け出る必要があります。自治会で、母子健康手帳と妊婦健康診断受診票(補助券)を受け取ります。ただし、助成内容は自治体によって異なり、超音波検査や血液検査が助成の対象となる場合もあれば、ならない場合もあります。妊娠前の場合、居住している自治体にお問い合わせし、具体的な助成内容を確認してみてください。
2.妊婦健康診査の受診: 妊婦健康診査を受診することが条件です。この診査は、母子の健康を確保するために重要なものであり、通院費用も一部支給されます。
妊娠中傷病手当金
「傷病手当金」とは、健康保険の被保険者本人が連続4日以上仕事を休んだ場合に支給されるお金のこと。対象には妊娠中の切迫早産や妊娠悪阻で仕事を休んだ場合も含まれています。
受給条件:社会保険や共済保険に加入する人(国民健康保険に加入する人は対象外となります)
傷病手当金は12カ月分の標準報酬月額の平均額を30日で割り日額を出し、その金額の3分の2が4日目以降休んだ日数分支払われる仕組みです。入院ではなく自宅療養の場合でも受け取ることができますよ。
傷病手当金の受け取りには「傷病手当金支給申請書」を医師に書いてもらう必要があり、自宅療養の場合は診断書も必要です。それらの書類を勤務先の担当部署に提出しましょう。
出産時
出産手当金(産休手当金)
出産手当金(産休手当)は日本政府と雇用主によって提供され、働く親が仕事と家庭の両方を調和させるための支援を提供するために設けられています。健康保険被保険者本人が出産する場合にお金を受け取ることができる制度のこと。以下に、出産手当金についての詳細を説明します。
1.対象者: ・出産手当金は、正規雇用であるかどうかにかかわらず、社会保険及び共済保険などといった健康保険組合/共済組合の被保険者本人であれば出産に当たって制度を受けることができる。
・妊娠期間が4か月以上である(4か月以上となると流産などが起きても制度を受けることができる)
2.申請と支給: 出産手当金の支給は、労働者自身が所属する雇用主または雇用主が所属する事業所を通じて行われます。出産手当申請書「健康保険出産手当金支給申請書」を受け取る
必要書類の準備と確認。以下はいくつかの必要な書類です。
・健康保険出産手当金支給申請書
・健康保険証(コピー)
・母子手帳(コピー)
・印鑑
・事業主の証明
3.制度の内容:被保険者本人が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産日以前の42日から出産後56日までの仕事を休んだ期間が対象。報酬があった場合にも金額が3分の2以下ならば、その差額を受け取ることができます。
出産日は出産の日以前の期間に含まれます。また、出産が予定日より遅れた場合、
その遅れた期間についても出産手当金が支給されます。
4.退職後の出産手当金:強制被保険者の資格喪失日(退職日の翌日)前1年間に3ヵ月以上、または3年間に1年以上強制被保険者だった方は、強制被保険者の資格喪失日前の出産または強制被保険者の資格喪失日から6ヵ月以内の出産について、退職後も出産手当金を受けることができます。
5.出産手当金の額:出産手当金の支給額は以下のとおりです。
1日あたりの支給額:
【支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
※支給開始日以前の船員保険加入期間が1年未満の場合
なお、仕事を休んだ期間について、船舶所有者から給与の支払いがあった場合、その額が出産手当金の支給額より少ないときは、出産手当金と給与の差額が支給されます。
出産育児一時金
日本の出産一時金(しゅっさんいちじきん)は、日本国内で子供を出産する際に支給される一時的な給付金のことを指します。「出産育児一時金」とは、妊娠4ヵ月以降に出産した子ども1人につき48.8万円もらえる制度のことです。
※多生児を出産したときは、胎児数分だけ支給されますので双生児の場合は、支給額は2人分になります。
※令和5年3月31日以前の出産は42万円(または40.8万円)
健康保険の被保険者かその家族、または国民健康保険加入者であれば、支給してもらうことが可能です。健康保険の被保険者の家族である場合は「家族出産育児一時金」と呼ばれます。
この給付金は、出生届提出後に申請することで受け取ることができます。以下は、出産一時金に関する主要な情報です:
1.支給額: 出産一時金の支給額は、出生した子供の人数によって異なります。一般的に、1人目の子供に対しては一定の金額が支給され、2人目以降の子供には増額されることがあります。
2.支給方法: 出産育児一時金の支給方法は次の3種類です。
・直接支払制度
・受取代理制度
・産後申請
*ここではもっとも利用される直接支払制度について説明します。「直接支払制度」とはそれぞれの健康保険の協会から医療機関に対して支給金額が直接支払われる支給方法のことを言います。まずは医療機関に対して直接支払制度を利用することを申し出ましょう。すると、医療機関が協会に対して支給金額の請求を行い、支給金額が医療機関に直接支払われます。出産費用が48.8万円を超える場合は、足りない金額を医療機関に支払うことになるもの。出産費用が48.8万円よりも少なかった場合は、健康保険協会から差額が被保険者やその家族に支払われます。
3.地域差: 出産一時金の支給条件や金額は、地域によって異なることがあります。各自治体の規則に従って支給金を受けるためには、該当する市区町村の役場にお問い合わせすることが重要です。
4.退職後の給付 資格喪失日前1年間に3ヶ月以上、または3年間に1年以上強制被保険者であれば、資格喪失後の6ヶ月以内のお産についても出産育児一時金が支給されます。
出産後
育児休業給付金(育休手当)
「育児休業給付金」とは、会社から給与や報酬をもらうことができない育休中に金銭的なサポートをしてくれる制度のこと。
1年以上雇用保険に加入している人ならば*、母親だけでなく父親でも受け取ることが可能です。育児休業給付金は、原則子どもが1歳になるまで受け取ることができるもの。
*1.育児休業開始日前2年間に、11日以上働いた月数が12ヵ月以上あること
2.育児休業期間中の1ヵ月ごとに、休業開始前の1ヵ月あたりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
3.就業日数が支給単位期間(1ヵ月ごとの期間)ごとに10日(10日を超える場合は就業時間が80時間)以下であること
4.有期雇用契約の場合は、同じ事業主のもとで1年以上継続して働いており、かつ、子が1歳6ヵ月に達する日までにその労働契約が満了することが明らかでないこと。
支給要件:子の出生日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日) 以内の期間を定めて、当該子を養育するための産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。
支給額:育休開始後180日目までは賃金の67%、181日目以降ならば賃金の50%の金額を受け取ることが可能です。ただし賃金の上限は42万6,900円と決まっています。そのため受け取ることができる金額の上限も42万6,900円の67%または50%となるので覚えておきましょう。
あなたが育休手当を取得できる機関の計算方については以下の図の通りです。
その他制度
妊娠にかかる医療費控除
「医療費控除」とは、1つの家庭が1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費の総額が10万円を超えた場合、年末年始に行う確定申告で所得税が軽減される仕組みのことを指します。
驚くかもしれませんが、妊娠や出産に関連する多くの医療費も、この医療費控除の対象になります。そのため、確定申告まで、医療費の領収書を捨てずにしっかりと保管しておくことが大切です。
まとめ
日本では、妊娠と出産に関連するさまざまな手当や制度が提供されており、親と子供の健康と福祉を支援するために設計されています。出産手当金、出産育児一時金、出産休業手当、出産育児休業制度、児童手当など、これらの手当と制度は、家庭の経済的な負担を軽減し、親が育児に専念できるようにする役割を果たしています。妊娠中の労働条件や出産育児休業の取得権など、労働者の権利に関する規定も存在し、妊婦や新たな親が安心して出産と育児に集中できるようになっています。日本では妊娠と出産に関する支援が充実しており、国の社会保険庁などの公的機関で詳細情報を入手できます。
では、皆さんはMecchaと一緒に妊娠各フェーズに伴う役に立つ手当の制度について学んだと思いますが、上手に制度を使うことで費用の負担を軽くすることができるでしょう。出産には費用がかかりますが、これから生まれてくる子どものためにも少しでも負担が減らせると嬉しいですね。
参考文章 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/senpo/g3/syusan/sb3180/2166-39355/