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帰国後の年金を受け取る手続き

手続き

 

 前回の記事で、Mecchaの読者の皆さんは日本の年金制度についてかなり知識を身に着けることができたと思いますが、この記事では多くの在日ベトナム人労働者が関心を寄せている「帰国後の年金の受け取り方」とその手続きについて解説していこうと思います。

 前回の記事でも紹介しましたが、年金を受け取る資格の基本条件は加入年数が10年以上かつ65歳以上であることです。しかし、ここで短期間しか働かない外国人労働者の条件を整えるために、日本政府は脱退一時金という制度を設けました。では、脱退一時金とは何でしょうか?

脱退一時金とは

 脱退一時金とは、短期滞在外国人に対し、支払った保険料の一部を返還する制度のことです。 というのは、通常の年金の受け取る条件によれば、保険の加入年数が10年以上でなければならないからです。したがって、外国人労働者は支払った保険金を受け取る正当な権利を失うことになります。そこで日本の国は、支払った保険料が掛け捨てにならないよう、支払った保険金の一部を返金する「脱退一時金」という制度を設けました。帰国後にもらえる「ねんきん」とよく呼ばれる支給金がこの「脱退一時金」です。

脱退一時金の種類

加入した年金の種類によって、脱退一時金の計算方法が異なりもらう金額も違ってきます。

前回のブログ記事でMecchaが紹介した年金保険制度には「国民年金」と「厚生年金」の2種類がありますね。これに伴い、脱退一時金も国民年金の場合の脱退一時金と厚生年金の場合の脱退一時金の2種類となります。支給額の計算方法に違いはありますが、保険料の一部が還付されるという点ではどちらも同様です。

国民年金に加入した場合の脱退一時金

支給要件

国民年金の脱退一時金を受け取るために必要な条件は以下のとおりです。

  ・受取人が日本国籍を有していない

  ・日本の公的年金制度(厚生年金または国民年金)の被保険者ではない

  ・保険料納付済期間等の合計月数が6か月以上であること(保険加入期間中でも未払いの月がある場合は対象外となります)

  ・高齢になってから年金を受け取ることができない(老齢年金の受給資格期間を満たしていない)

  ・障害者基礎年金などの年金を受給する権利を有したことがない

  ・日本国内に住所を有していない

  ・日本で最後に公的保険の加入者資格を喪失してから2年以内であること

国民年金の脱退一時金の支給額

 支給額は、最後に保険料を納付した月が属する年度の保険料額と保険料納付済期間等の月数に基づいて計算されます。なお、最近の特別制度の改定により、2021年(令和3年)4月以降の最終月の保険料を支払った方は、計算に用いる月数の上限が従来の3年間から60か月(5年)となりました。

脱退一金の計算式

支給額=最終保険金支払月の属する年の保険等級×1/2×支給額計算に用いる数※

※「支給額計算に用いる数」は、保険料納付済期間等の月数の区別に応じて定められています。最後に保険料を納付した月が、2023年(令和5年)4月から2024年(令和6年)3月の場合の具体的な支給額は、以下のとおりです。

保険料納付済機関等の月数

支給額計算に用いる数

支給額(令和5年度)

6月以上12月未満

6

49,560円

12月以上18月未満

12

99,120円

18月以上24月未満

18

148,680円

24月以上30月未満

24

198,240円

30月以上36月未満

30

247,800円

36月以上42月未満

36

297,360円

42月以上48月未満

42

346,920円

48月以上54月未満

48

396,480円

54月以上60月未満

54

446,040円

60月以上

60

495,600円

つまり、5年に相当する60か月分の国民年金を納付すると、最大合計49万5,600円が受け取れることができます。ご加入の年金の種類をご確認ください。

※なお、最後に保険料を納付した月が2021年3月以前の場合は、年金支給額は最大36か月分(3年)として計算されます。

厚生年金に加入した場合の脱退一時金

支給要件

  ・日本国籍を有していない

  ・公的年金制度(国民年金または厚生年金)の被保険者ではない

  ・厚生年金保険(共済年金等を含む)の合計加入期間が6か月以上である

  ・高齢になって年金を受け取る条件を満たしていない(老齢年金の受給資格期間(10年間)を満たしていない)

  ・障害厚生年金等(障害手当金を含む)などの年金を受給する権利を有したことがない方

  ・日本に住所を有していない

  ・日本で最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失してから2年以内である

(資格を喪失した日に日本に住所があった場合は、日本に住所を失った日から2年未満として計算します)

厚生年金の脱退一時金の支給額

 厚生年金保険の脱退一時金の支給額は次の計算式によって決まります。2021年(令和3年)4月より、最終月(資格喪失した日の属する月の前月)が2021年(令和3年)4月以降の方については、計算に用いる月数の上限が60月(5年)となりました。

支給額の計算式

支給額=被保険者であった期間の平均標準給料×支給率(保険料率×1/2×支給率計算に用いる数)

最後の保険月が2021年(令和3年)4月以降の場合

被保険者であった期間

支給率計算に用いる数

支給率

6月以上12月未満

6

0.5

12月以上18月未満

12

1.1

18月以上24月未満

18

1.6

24月以上30月未満

24

2.2

30月以上36月未満

30

2.7

36月以上42月未満

36

3.3

42月以上48月未満

42

3.8

48月以上54月未満

48

4.4

54月以上60月未満

54

4.9

60月以上

60

5.5

なお、納付した最終月が2021年(令和3年)3月以降の場合は、最大36月(3年)を上限として旧計算率が適用されます。

会社員のグエンさんの具体例を見てみましょう

  ・基本給:25万円/月

  ・ボーナス: 年俸2か月分

  ・保険加入期間:48ヶ月

  → グエンさんはボーナスを 合計4 回受け取りました。

グエンさんが受け取る年金の支給額の計算方法は次のとおりです。

25万円 x 48 か月 + (25万円 x 4) = 1300万円

従って、月の平均標準給料は1300万円/48か月 = 27.1万円となります。

上の式によれば、次のように計算できます。

従業員グエンが受け取る年金の支給額は27.1万円 x 4.4 = 119.24万円となります

年金の脱退一時金受給に必要な書類

  1. 脱退一時金請求書(国民年金/厚生年金)
  2. パスポートのコピー(氏名、生年月日、国籍が確認できるページ)
  3. 日本に住所がなくなったことを確認できる書類(住民票の住民票抹消確認書類のコピー)
  4. 銀行名、支店名、支店住所、口座番号、申請者の銀行口座名が記載される銀行が発行した書類(この書類を英語または日本語に翻訳してください)
  5. 年金手帳

帰国前に居住地の官公庁に申請書を提出している場合は、日本に住所を有していないことが確認できるため、3の書類の添付は​​不要です。

手続きを用意する手順

ステップ 1: 脱退一時金請求書(国民年金/厚生年金)を下記のリンクからダウンロードして印刷します。

I-15.pdf

ステップ 2: 脱退一時金請求書の各項目に情報を記入します

注意:

  1. 登録フォームの1項目 から 6項目 まで漏れなくすべて記入してください。

2.「4.加入者の氏名、生年月日、住所」および「5.年金一時金の受取口座」はアルファベット大文字でご記入ください。

  1. 「6.基礎年金番号通知書または年金手帳等の記載事項」の基礎年金番号欄には基礎年金番号通知書または年金 手帳等に記載されている基礎年金番号、各制度の記号番号欄には今まで加入したことのある年金制度の年金手帳の記号番号を転記してください。

  4.「日本年金機構記入欄」は記入しないでください。

ステップ 3: 申請書と上記のすべての必要書類をまとめ、下記の住所のように日本年金機構に EMS で送信します。

この住所を印刷して封筒に貼り付けると、住所の間違いを避けることができます。

まとめ

 以前勤めていた会社が年金受給に対応していくれる場合は会社に依頼すれば取得してもらえますが、そうでない場合は自分で手続きする必要があります。

ただし、忙しい場合や手続きが面倒な場合は、ねんきんサポートを利用することができます。

比較しやすいように基礎年金番号や年金手帳の記号番号などの情報を忘れずに書き留めてください。

なお、脱退一時金を受け取るベトナムの銀行口座は米ドルに対応できる口座である必要があります。

参考文章

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/sonota-kyufu/20150406.files/I.pdf

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20150406.html